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− 第1回ブックレビュー
更新: 2004年4月8日  


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お知らせ

2004.4.8第1回ブックレビュー: Mac OS X v10.3 メールサーバ構築術 のレビュー記事を掲載しました。

レビュー対象書籍

Mac OS X v10.3 メールサーバ構築術 の著者の長田様のご厚意により、 ブックレビュー用にこの書籍を提供していただきました。 この書籍をレビューア募集の結果選ばれた方にお送りして、 レビュー記事を書いていただきました。

レビュー企画にご協力いただきました長田様およびレビューアの小山様に 感謝いたします。

ブックレビュー記事

小山勝義さん: 「MacOSXでメールサーバを構築時の良き入門書」

1.本書の対象

ADSL等の高速回線の普及により、個人でも常時接続を手軽に利用することが できるようになってきました。それに伴い自宅でサーバを構築運用する例も 多くなってきています。MacOSXを使用しメールサーバを構築したいけれど、 最初の一歩を踏み出せないでいる入門者には最適です。

2.本書の内容について

 5章+付録で255ページに収まっています、ページ数が少ないと思ったのが 第一印象でした。入門書と言っても「メールサーバ構築」ですから広範囲の 知識が必要になってきますが、DNS,MTA,POP3,IMAP...etcと重要な要点だけに 絞り解説しています。本書と共にその他専門書も必要になってくるかと 思います。

 まず第一章では「メールサーバとは」からはじまり、郵便と対比した 電子メールの配送の仕組み等を入門者にわかりやすい「図やキャプチャー 画像」を多用し解説されています。

 第二章で構築の準備として、自宅でサーバを構築運用するための要件及び 注意事項等が書かれており、迷うことなく必要な環境を準備できます。そして 必要な機器類等の説明が入るのですが、ハブとかケーブル類の写真付き 説明には少し入門者向けに寄りすぎているのではと思いました。

 第三章からは実際の設定に入り、DNS(BIND)のVIEWを使った設定、 digコマンドを用いての確認等、一通りの運用が理解できます。また、 設定ファイルの編集箇所などもわかりやすいように工夫されてます。 Postfixの設定も同様にわかりやすく、最初の設定としては入門者に 迷わせない配慮に好感が持てます。 その後popperのインストールで一通り設定完了になります。

3. 本書の良い点

 まず本書を開いて目に入るのは多用された「図やキャプチャー画像」で、 文字ばかりが目に付く専門書と違って読みやすいです。    

 コマンド行右には「Return」が配置若しくはそのコマンドを実行する意味など が配置され、要所要所での著者の配慮が見受けられます。

4. 残念な点

 付録には重要な点(ソフトウェアアップデートに関する注意事項、RBLの 情報更新)が書かれており、かなり興味深く読ませて頂いたのですが、書籍を 読み進み後に付録を読むような順序になっていたのが残念です。各ページには 「Note」という形で付録へのポインタが置かれていたりしますが、 できるだけ順序よく読み進められる方が良いのではと思いました。

 また付録についての点ですが、ウイルス対策の項はもう少し詳しく設定を 交えて書かれたら良かったと思います。ウイルスが非常に多い現在、 ウイルス対策は誰しもが興味を持つ話題ではないでしょうか。個人でも 使えるようなスキャンソフトとの連携等を紹介頂けたらと残念に思えました。 

5. Postfix入門者の視点から

 Postfix入門者にとっても非常に良い参考書になるのではないでしょうか。 Postfixの基本的な設定部分からPOPbeforeSMTP、SMTPAuth、ドメインIP毎の 拒否設定、RBL設定、ヴァーチャルマップを使ったヴァーチャルドメインと 様々な設定例に出会うことができます。設定例を見て得る物も多いのでは ないかと思います。

6. 終わりに

 私はMacOSXを使い始めてまだ1年くらいでMacOSXに関しては入門者レベル ですが、そんな私にも簡単に設定できました。この書籍はMacOSX固有の部分 (パッチは...、configureオプションは...)を丁寧に書かれているので、 設定が非常に簡単にできます。MacOSXでサーバを構築しようと思われる方は、 一読の価値はあると思います。

 最後になりましたが、今回ブックレビューアの機会を与えてくださったJPAG 担当の方々、そして献本して頂いた著者の長田美彦様には大変感謝して おります。本当にありがとうございました。



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